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階梯と車輪 10

2011.09.30【 第二部「階梯と車輪」

  剥き出しの「階梯」を腕に抱えて夜の街を歩いた。彼女は電車に乗るかホテルに泊まると思ったらしいが、僕は歩いた。歩きたかった。二駅くらい、なんでもない。 ひとしれず濡らした頬を夜風が撫でた。街路樹の枝葉がぶつかりあい、そのさざめきが肌をうつ。とりまく闇の気配が「覚醒」を促している。わたしはいつでも太陽の位置がわかる。あの黄金の車輪、そして銀の車輪たる月の満ち欠けもからだで識(し)っている。 世間では...全文を読む

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階梯と車輪 9

2011.09.23【 第二部「階梯と車輪」

 「彼氏に連絡しなくて平気?」 こちらの問いに、彼女は怪訝そうな顔をしたあと表情を強張らせた。その瞬間、僕は悟った。彼女の待ち人が恋人ではないことを。「……彼氏じゃないからべつに平気。不倫、だから」 指先で目じりの涙をはらい、呆けたままの僕に続けた。「あちらは結婚してるの。そんなに驚くほど珍しいことじゃないでしょ?」 僕を見あげた瞳はまだ濡れていた。何を言うともなく口をひらきかけたところで、「なにも言...全文を読む

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階梯と車輪 8

2011.09.16【 第二部「階梯と車輪」

  彼女のアパートの玄関前に「標し」を立てた。視界樹の黄金と銀の枝木を二本、並べた。これにより、今夜ここに「夢使い」が寄宿しているとわかる、仕事中の看板のようなものだ。昔は縦に銀木(ぎんぼく)、横に金木(きんぼく)を渡した大きな「階梯」を設えたそうだ。次第に簡略化され、いまでは一尺ほどの枝木を使うだけのものとなった。とはいえわたしの師匠は三尺の枝木を、その祖父は屋根をも越える立派な「階梯」を立てたと...全文を読む

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階梯と車輪 7

2011.09.09【 第二部「階梯と車輪」

 「ねえ、うち、来ない? 来れるんだったら来てほしいの」 翌日の朝、委員長から電話があった。開口一番それで、おはようも何もなかった。少々面食らったものの、初めての依頼の際、こういう切羽詰った話し方をするひとは存外多い。「今夜ですか?」「なんで敬語なの」「依頼かと思って……」「うん、依頼です。でも同級生なんだから敬語つかわないでよ。気まずいじゃない」 気まずいのはこちらだと、彼女は気づかないふりをした。...全文を読む

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階梯と車輪 6

2011.09.02【 第二部「階梯と車輪」

  戻ってすぐ、店長がわたしのそばに寄ってきた。報告義務などないはずだが、問いたい気持ちはわからないではない。「……会社で、あんまりうまくいってないみたいです」「だろうな。あの年頃の子はたいてい昼は連れ立ってくるだろ。しかもあっちの通りにはここより大きなコンビニが何件もあるしな。もっとこじゃれた公園もある」 ああ何度もだと気になってな。 低く呟かれた囁きが肌に刺さるようだった。「昨日が初めてじゃなかっ...全文を読む

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Author:磯崎愛
「おはなし」を食べて生きてます。たぶん(笑)。

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