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夢でさえ、なくていい 3

2012.06.29【 夢でさえ、なくていい

  おれが六つのとき、すでにあのひとはあの土地で確固たる地位を築いていた。若く、並外れた技量があり、抗いようのない不可思議な魅力があった。だれもが認める美男ではなかったが、あのひとが道を歩くとみなが足をとめて眺めた。昔話の笛吹きのように、こどもはその後を走って追った。おれは追わなかった。あの手がほかの子の頭を撫でるのを遠くに見ていた。 叔父の妻がまずその魅力に篭絡された。おれがはじめて男女の営みを垣...全文を読む

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夢でさえ、なくていい 2

2012.06.22【 夢でさえ、なくていい

  はじめは、毅然としているひとだと思った。じっさい生真面目で堅苦しいところもある。休憩時間以外の無駄話はしない。陳列棚の乱れは誰よりも早く気づきすぐ直す。しかも自宅でたとえひとりでいても、きちんと正座して食事をとる。それを見て、おれはじぶんの身仕舞いのだらしなさ、心得のなさを本気で恥じた。このひとは師匠の御宅に世話になったせいだとこたえたが、それだけとは思えない。だいいち足音をたてずに歩く。いつで...全文を読む

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夢でさえ、なくていい 1

2012.06.15【 夢でさえ、なくていい

  長い黒髪が乱れて枕に散っている。見事に波打ったシーツを腹の下に感じ、まさに情事の翌日といった風情なことに、おれはとうとう声を押し殺してわらった。このひとと暮らしはじめて数か月たって、ちかごろようやくこういう姿を見ることができるようになった。つまり、ふだん眠りのとても浅いひとが、おれの隣で安らかに寝息をたてている。いとおしいという感情の熱をおれは長らく忘れていた。いや、知らなかった。 このひとは「...全文を読む

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夢も見ない 8

2012.06.08【 夢も見ない

  彼女は明らかに呆れ声だった。はなしの噛み合わなさに途方に暮れているみたいだ。いっぽうおれは笑いを噛み殺すのに苦労した。このひとのこの調子に、おれだってどれほど悩まされたことか。 そんなわけで電話の向こうでは彼女がまだ何か説明しようと躍起になっていたけれど、このひとはそれを押しとどめるべく諭すような声でつづけた。 にんげん疲れてるとろくなこと考えないよ。とにかく休むといい。遠く離れていても君の処に...全文を読む

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夢も見ない 7

2012.06.01【 夢も見ない

  眠らないよう互いに気をつけていたはずがうとうとしていたようだ。メールの着信音で飛び起きたのはふたり同時だった。彼はそれを目にし、あーと呻いて長い髪をかきあげた。どうやら師匠は家にいなかったらしい。彼は頭を振りながらむずかしい顔をして電話をかけていた。おれはその背中にぺたりと頬をおしあてた。興味本位なだけでなく、やはり気にはなった。彼女なら、いっそゴシップ記事でも読むように盗み聞きされたほうが清々...全文を読む

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Author:磯崎愛
「おはなし」を食べて生きてます。たぶん(笑)。

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