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ある名詞を巡る三つの物語

2037.04.30【 ある名詞を巡る三つの物語

    ~ある貴婦人の回想~「姫様、鳩の血を使うのです」 乳母の言いつけを守り、わたくしは処女の証しを純白のリンネルに残しました。女(ファム)に生まれたことを後悔した覚えはございませんが、不便なものだとは感じました。 けれどもわたくしの夫、宮廷一の洒落男と目される王弟殿下はおやさしかった。新床のわたくしを気遣い、こうもお話しくださったのです。 からだの力を抜いて足を開き、目を閉じておいでなさい。 殿下...全文を読む


空が青いと君がいった日 5

2037.04.30【 空が青いと君がいった日

  自分が何を求めているのか想像して笑った。 わたしはただ、自分の欲望のままに「力」を振る舞いたいだけなのだ。 それを名誉だの正義だのとわかりやすい言葉で粉飾し、誤魔化しているだけだ。 むろん、それを今ここで口にしてもいいわけではなかった。 それでも、彼の誤解だけはといておきたい。「わたしは真の騎士ではないよ」「そうですか?」「ルネさまのような方をそう言うものだ」「俺、そういうあの方を作ったのって、...全文を読む


空が青いと君がいった日 4

2037.04.30【 空が青いと君がいった日

 「わたしが思うに、それは君がやることじゃなくて《死の女神》の神殿の仕事じゃないかな?」「それはそうかもしれないですが、女の人のためってだけじゃなくて、太陽神殿の教義や対応自体に問題があるのは事実です。けっきょく世の中って弱いひとのところに負担がいきやすいじゃないですか。そういう全てをどうにかできるとは思ってませんが、考えて、少しでも動かせるなら、どうにかしたいんですよね」 彼のいうとおり、戦乱や疫...全文を読む


空が青いと君がいった日 3

2037.04.30【 空が青いと君がいった日

  わたしがとぼけると、ジャンは尋ねたことをあからさまに後悔したように口を曲げた。その顔をみて、自分が少し嫌になった。自己嫌悪を払拭すべく、わたしはすぐさまその名を告げた。「マリー・ゾイゼ。この国の宰相閣下の息女にして、アラン・ゾイゼ神殿騎士団長の妻だ。もっとも、あまり公式行事にも出席しないから話したこともないけどね。彼女もわたしの顔をそれと知っているかどうかわからない。それで?」「それでって、なん...全文を読む


空が青いと君がいった日 2

2037.04.30【 空が青いと君がいった日

  ジャンがいったい何故、そんなところに女を連れて行くのか判じかねた。彼に限ってそんな事はないと思う一方、なにか揉め事になるのではないかとも考えた。彼がちょくせつ関係していないにしても、穏健なはなしには成り得ない。いざとなれば仲裁に入らなければならないかもしれず、わたしは足音をしのばせて人通りの少ない道を歩いた。 はたして、待ち合わせでもしてあったのか、門のすぐそばには白いヴェールをかぶったほっそり...全文を読む


空が青いと君がいった日 1

2037.04.30【 空が青いと君がいった日

  世は並べて事もなし。 娼婦と寝た朝に思うのは、そんなことだ。 わたしに背をむけて軽い鼾をかく女は、モーリア王国から来たという。かなりの売れっ妓らしく顔も身体も悪くなかったが、いささか喋りすぎたし化粧が濃い。 神殿に戻るまえに湯をつかわなければ、この匂いでエミールに嫌われる。 いちど、脂粉塗れで朝帰りしたのを見咎められて以来、わたしは身を整えて太陽神殿に戻るよう気をつけていた。あの女の子みたいに可...全文を読む


風に舞う蝶 3

2037.04.30【 風に舞う蝶 

  ここまで話してきて、アンリさんは顎に手をあてて考えこむような顔をして、問題の石を指差しました。「その石って、これのことだよね?」「そうです」「元に戻ってる……?」 僕は、深くうなずいてから口にしました。「ジャンは始めから、次の見回りのときには元の場所にあるはずだから心配するなと言ってくれていたのです」「ああ、そうなんだ。じゃあその通りになってよかったね」 そう言ったアンリさんは僕の顔を見て首をかし...全文を読む


風に舞う蝶 2

2037.04.30【 風に舞う蝶 

  一月ほど前の、見回りのときのことでした。 西側の一角の石が動かされていて、それを農民たちに抗議したとき、ジャンは彼らのはなしを聞いただけですましてしまいました。僕が口を挟もうとすると、お前は引っ込んでろといって後ろに押しやるのです。 ジャンは、同じことの繰り返しや行き当たりばったりで要領を得ず、まったく整合性のない農民たちの言い訳を、一言も漏らさず耳に入れていたようです。僕は嘘をつく人間が大嫌い...全文を読む


風に舞う蝶 1

2037.04.30【 風に舞う蝶 

  あの蝶を、初めて見たのは「見回り」の日のことでした。 見回りとは、太陽神殿の葡萄畑が他の所領地とちゃんと区別されているかどうか確認する作業です。そのころの僕は、エリゼ公国の都にたったひとつだけの太陽神殿に「神官見習い」として勤めていました。 都の東側の突端にあるとても小さな太陽神殿には、僕たちの主にして神官職であられるルネ・ド・ヴジョー伯爵、神官見習いのニコラさん、作男のアンリさん、作男なのにや...全文を読む


この胸の炎 2 

2037.04.30【 この胸の炎 

  さしもの俺もその言い振りにはとさかにきて反抗した。「俺だって、神官様がこの国のお姫様と結婚できたらいいと思ってますよ」「そう。できたらいい、それがおまえの本心だ。おまえの心配はこの神殿がどうなるかで、またはこの国がどうなるかだ」「なっ、だ、だってそりゃ」「勘違いするな。おれはそれを責めてるんじゃないさ。上つ方の立場は庶民と違うことくらい、おれもよく知っている。だが、それはあの方の人生を自分たちの...全文を読む


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磯崎愛

Author:磯崎愛
「おはなし」を食べて生きてます。たぶん(笑)。

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