唐草銀河

未分類

唐草銀河vol.4 『LOVE ART COMPLEX』試し読み

 

目次




支持体
マチエール

ひかり

イメージ
LOVE ART COMPLEX


あとがき






 合宿の夜、
 月が綺麗だと言い合って後、
 ふたりは互いの想いに気がついた。
 
 けれど、
 想いが通じ合えばどうにかなるというものでもない。

 さらには、
「あなたに本当に伝えたいこと」がなんなのか、
「付き合うっていったい何をすること」か、
 当の本人たちでさえも、否、当の本人たちこそが、
 わかってはいなかった。


 《壁》

 今年の新人は豊作(なんと女子七人野郎四人!)のうえ優秀だと先輩たちは喜んだものだがさすがに夏すぎるとだれてくる。ゲーム機やテレビのある部室には人がいるが、作業場に人影はない。真面目に絵をかいてるのは俺くらいなもんだ(先輩たちは学園祭前でもないと絵なんて描かないらしい)。それでもって、俺、そう俺こそが、好きな子と両想いかもしれないこれからどうしたらいいと悩んでた奴に、おまえらセックスのことばっか考えすぎと言っちまった人間だ。いやなに本音だよ。つーかすまん、それ、おまえらじゃなくて俺だよ俺、俺のことだよ呆れたことに。だが今さら繕っても始まらんな。いや、まあその……つまり、なんだ、その、俺がそういう人間だっつうことなんだがな。これは今の段階では重要機密だ。
 夏休みあけてすぐ気づいちまった。女子のなかで彼女は浮いていた。九月も終わりの今となっては女子だけでなく部活ん中でもアンタッチャブルな感じになっちまってる。前はよくここにいた。窓から見える風景を描いていた。そのすぐちかくには奴がいたはずだ。ペットボトルに挿した花を写生してた。そこらへんの草花を引っこ抜いてきて花瓶があるのにきちんと活けず、植物図鑑に載ってそうな描き方をしてた。つまり「静物画」ではないといいたいらしい。俺にはわかった。たぶん彼女も解った。あとひとりくらいか、その違いに気づいたのは。
 奴と彼女が妙な雰囲気になって、つまり合宿の夜、露天風呂でナニしたとかいう噂が流れて、いまどきにしちゃやけにジュンボクな俺たちは扱いに困っちまったわけだ。「ふつう」に出来上がった奴らにはこういう態度はとらない。せいぜい冷やかす程度。付き合ってもいないのにふしだらなことをした(かもしれない)奴ら、てのが気に障るらしい。世の中の大半の人間は何かしらイレギュラーなものに忌避感をもつ。要するに変わってると思われると厄介だ。美術部なんてところでさえこうなんだから面倒なことこのうえない。
しかもこういうことは何故か、おんなのこたちのほうが耳聡く敏感だ。敬遠されている理由を彼女ははじめ気づかなかった。誰が見ても意地悪な態度をあからさまにとるほど女ってやつは愚かじゃない。ちょっとしたタイミングのずれ、行き違い、そんな積み重なりでようやく気づく。避けられていると。ランチの約束を断られる。いっしょに買い物に行くはずがそれは別ルートで手に入ったからごめんねとすげなくされる。そんなことがくりかえされていつの間にか孤立する。
 壁を作られるのは辛いものだ。だが避けたほうとて言い分はあるのだろう。女の子同士てやつは紗の幕のこっちとそっちで言い分を探り合うことに長けている。その薄物をないことにして行動するとベツモノ扱いされても致し方ない。悪気はないのだ、お互いに。俺は姉妹四人の下に生まれつき(つまり親父は息子が欲しくてがんばっちまったわけだ)母も合わせて女のなかで育ったゆえにあいつらの陰湿さと健気さと底抜けの生命力を肌身で知っている。まあ畢竟、「女」と一括りにせず「個体識別」しろってことなんだが難しいやね。
 筆をおいて一息ついたところでドアがひらいた。



続きは同人誌で!(画像はイメージです)

20120527001744_120.jpg
(表紙素材をお借りしています。 site : Sky Ruins  url : http://skyruins.com/)
200円 (A5 20頁 コピー本 2012/05/06)※おかげさまで完売しました! どうもありがとうございます☆

vol.4 『LOVE ART COMPLEX』
(恋愛小説・短編) 
  ある大学の美術部の男女が織りなす青春ラブストーリー。

イベント&委託販売と通販のご案内→http://karakusaginga.blog76.fc2.com/blog-entry-665.html

スポンサーサイト



*Edit ▽TB[0]▽CO[2]   

~ Comment ~

はじめまして。 

ご訪問、拍手コメントありがとうございます!
コメントいただいていたことにやっと気づきました。
大変、失礼いたしました!!

実は、最近、なんだかんだで(詳細は別ブログの雑記にて(・・;)パソコンを開く時間がなかったのです~。
世界を、人物を描くこと。物語を綴り続けること。それはもう生きること、呼吸することと同義です。
一時期、文章を書く時間すら取れなかったとき、精神的におかしくなりかけました。
(けっこうムカシのことですけど)

実は、朱鷺(shuro)には身内が神奈川におりまして、たまに、そこを訪れます。なので、東京近辺をウロつくこともあります。
(別ブログでは、けっこう朱鷺の写真も掲載しております(^^;)
もしや、こいつは・・・( ̄▽ ̄;)!!
と思ったら、声を掛けてください。

それから。
‘ある大学の美術部の男女が織りなす青春ラブストーリー’
ああ、非常に素敵です。
読んでいて気持ちが良い。
断然、続きを拝読させていただきたい、と思い至りました。
同人誌。
いつか、買わせてください。
磯崎さんの世界を手に入れることって、あの子の夢でした。
朱鷺がやっちゃったら、怒られるかなぁ・・・。

Re: はじめまして。 

はじめまして!

> 実は、最近、なんだかんだで(詳細は別ブログの雑記にて(・・;)パソコンを開く時間がなかったのです~

お忙しそうですね、そちらも拝見しておりますよ。
それから「東日本大震災 ボランティア記ボランティア日記」も拝読いたしました。
読んでいて胸に迫るものがありました。
どうぞお身体優先でお願いいたしますねv

> 世界を、人物を描くこと。物語を綴り続けること。それはもう生きること、呼吸することと同義です。
> 一時期、文章を書く時間すら取れなかったとき、精神的におかしくなりかけました。
> (けっこうムカシのことですけど)

ええ、そういう方だとお見受けしておりました!!!

> 実は、朱鷺(shuro)には身内が神奈川におりまして、たまに、そこを訪れます。なので、東京近辺をウロつくこともあります。

えええええ!
じゃあ、東京近いじゃないですか東京すぐそばじゃないですか!
横浜あたりだったらわたしも出やすいですし、いつかデートしてください!!!

> (別ブログでは、けっこう朱鷺の写真も掲載しております(^^;)
> もしや、こいつは・・・( ̄▽ ̄;)!!
> と思ったら、声を掛けてください。

おおおおおっ、
はい、はい、はいっ!
喜んでそうさせていただきますよv


> ‘ある大学の美術部の男女が織りなす青春ラブストーリー’
> ああ、非常に素敵です。
> 読んでいて気持ちが良い。
> 断然、続きを拝読させていただきたい、と思い至りました。

どうもありがとうございます!

> 同人誌。
> いつか、買わせてください。

わーい、ありがとうございます!

> 磯崎さんの世界を手に入れることって、あの子の夢でした。

そう、おっしゃってくださってましたね。
憶えておりますよv
というより、
あの方は、わたしが本を出したら御礼にお名前を出さないといけないような方ですね。

> 朱鷺がやっちゃったら、怒られるかなぁ・・・。

あはは、
たしかに拗ねられたりするかもしれませんが、大丈夫です。
あの方にはあの方の分で、
わたしのほうから何かちゃんとご用意してさしあげる心づもりでおります。
わたしにとっても、そういう大切な方でした。

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします!
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)