唐草銀河

恋人たちの物語~「心臓を食べさせられた奥方」の私的解釈における五つの断章~

*侍女の告白――修道院の一室にて

   奥方様の不倫をお館様に告げ口した新しい家令は亡くなったそうでございます。いい気味ですわ。身分卑しく下品な男でしたもの。

 嗚呼、奥方様、わたくしの命より大切な御方、わたくしがいれば他はいらないとまで仰ってくださったのに、あんなつまらない、ただ若いだけの騎士の口車に乗せられて、その言いなりに身を任せようとなさるなんて、なんと愚かしい! しかもいざとなるとご自慢のものが萎えてしまって、口ほどのこともなかった男なのに。それでも貴女様は男のものが、それほどよろしうございましたか。わたくしのこの指より、この唇より、あんな情けないものが貴女様を悦ばせたとは心外でございます。それとも学のあるところがよかったのでしょうか、女の身ではそれもかなわず口惜しい。

 貴女様が騎士といっしょに城から逃げるなどと馬鹿なことをいって騒ぐので、わたくしはただお止めようとしただけなのです。まさか揉みあったまま貴女様が窓から落ちてしまわれるとは思いもしませんでした。お袖は想い人のところへお届けいたしました。ご満足ですか?

 お美しくて、考えなしで、わがままな貴女様を、それでもわたくしは心の底から愛しておりました。貴女様の心臓を頂戴したのはわたくしでございます。薬草を添えて美味しくいただきました。どうやっても肉体で繋がれなかったわたくしたちの愛の証がたちました。これでもう、わたくしと貴女様とは一心同体で未来永劫離れることがありません。                       Fin.
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